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先輩からのメッセージ

■人生に大きな影響を与えた恩師の真剣な姿。


(聖学院の印象は)ひとつは先生も生徒もものすごく多様性に富んでいたということです。多様性に富むというのは、良いもの、きれいなものだけがあるのではなく、場合によってはちょっとはずれたり、行きすぎたり、というところを含めて非常に多様性に富んでいました。日本の社会は意外に平板なのに比べて、聖学院のコミュニティは、ふくらみがあるという意味でとても良かったと思うんです。

具体的に申し上げると、数学の海野次郎先生、畑中岩雄校長、のちに明治学院の学長になられた世界史の森井真先生、それから日本史で映画の評論をやってらした宇野秀弥先生という変わった先生がいらっしゃいました。

たいへん僭越な話ですが、単に先生としての存在だけでなく人柄のおもしろさがありました。森井先生のことは今でもよく覚えています。世界史を教えていらしたんですが、社会的な大きな問題とご自身の問題を重ねて文字どおり模索していらっしゃるんですよね。それが生徒のわれわれに伝わってきました。何か具体的に教えていただくより以上に、真剣に一所懸命ものを考え、手探りしているというのが決定的に大きな影響を与えてくれるんですね。
株式会社 岩波書店
前代表取締役社長
大塚 信一
1958年 聖学院高校卒業
(第51回生)
(中略)
先生ご自身がいろいろ悩んでいらしたと思います。岩波書店から『現代思想』という講座が出始めていたのですが、先生はその講座を一巻一巻抱えて教室にみえるんです。僕も興味本位にそれを読んだのですが、これもその後に大きく影響しています。

(中略)
そういうことの延長上でどういう職業を選択するかと考えたときに、ジャーナリズムしかないと思いました。そのころは政治の激動期だったわけですが、一方では経済成長のとばくちにさしかかっていましたので、商社や銀行にいく連中は一切試験もなしでどこでも入れるという状況でした。しかしジャーナリズムだけは志望者が多くて試験があって難しいわけですね。新聞と出版と放送を受けましたが、結局、最初に試験に受かった岩波書店に入りました。

それ以後出版社で過ごし、編集という仕事をやってきましたが、今話したような問題意識を企画でつくってきたと思います。近年になって、森井先生にお会いする機会がありましたが、卒業後40年以上、少年時代に聖学院で受けた影響が、今に至るまでずっと続いているなという感じを非常に強く持ちました。

(「聖学院報」No.22『クローズアップ』より抜粋)

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